ある日の妊婦検診の時、おなかの子供が男の子であることを先生から告げられました。
何故か女の子ではないかという思いしかなかった私は、多少動揺しつつも、
先生の言葉を受け止め、診察室を出ようと席をたったその瞬間、
空からある名前が降ってきたような不思議な感覚を覚えました。
その日の夜、帰宅した夫に、子供が男の子であること、
そして名前が降ってきたんだけど、という話をしました。
この子はこの名前をもって、私たちのところに来たような気がした私は、
その日からずっと、この名前でおなかに話しかけるようになりました。
最初はちょっと照れくさそうだった夫も、いつの日からか、
同じように名前を呼びかけるようになりました。
あれから数ヵ月後。
あの日、診察室を出ようとした時に降ってきた「りく」という響きは、
あれこれ考えた末に夫が決めた「璃久」という字をもって、
生まれてきた子供に命名されました。
まだ名前を呼んで反応してくれることはないけれど、
いつの日か、返事を返してくれるようになったら、嬉しいだろなぁ。
これから先の人生で、たくさんの人たちが愛情をもって
この名前を呼んでくれることを、今はただただ、祈るばかりです。